コアコンポーネント
SYSREG - システムレギュレータ
システム電圧レギュレータ(SYSREG)への入力電圧は、VBUS
によって供給されます。
VBUS
の電圧は、AC壁コンセントやUSBポートによって供給されます。
SYSREGは、デバイスが通常状態にあるときにVINT
を供給するリニア電圧レギュレータ(LDO)です。
SYSREGの特徴は以下のとおりです:
VBUS
が接続されているときにVINT
を供給する5Vリニア電圧レギュレータ(LDO)- 最大 6.7V までの動作電圧
- 20V までの過電圧保護
- USBポート検出と、VBUS上の電流制限を設定するための制御ピン
VSYS
およびDEC
ピンは外部から供給してはなりません。
USBポート検出とVBUS電流制限
このデバイスは、usb.orgで見つかるBattery Charging Specification v1.2に従ってUSBポートタイプの自動検出をサポートします。
主な検出は、StandardDownstream Port(SDP)、Dedicated Charging Port(DCP)、およびCharging Downstream Port(CDP) USBポートに対して行われます。 検出シーケンスはVBUSが接続された時点で開始し、T後に完了します。
SDPが検出された場合、VBUS
の電流制限は 100mA に設定されます。USBインターフェースを備えた外部マイクロコントローラは、USBホストと 500mA の制限を交渉することができます。
その後、GPIOを使用してISET
を制御し、VBUS
の電流制限を上げます。これはUSBポート交渉と呼ばれます。
DCP/CDPが検出された場合、VBUS
の電流制限は 500mA に設定されます。
この場合、ISET
の設定は無視されます。
ISET
を使用してVBUSの電流制限を 100mA または 500mA に設定し、USBポート検出を無効にすることも可能です。
以下の表は、ISET
、D+
、およびD-
の設定を記述しており、VBUS
の電流制限を固定するか、USBポート検出またはUSBポート交渉に基づいてVBUS
の電流制限を設定します。
制限設定方法 | ピン設定 | VBUS電流制限 |
---|---|---|
100mA 固定 | ISET = D- = AVSS , D+ = NC | 100 mA |
500mA 固定 | ISET = VSYS , D- = AVSS , D+ = NC | 500 mA |
USBポート検出 | ISET = AVSS , D+ とD- はホストと接続 | SDPを検出した場合100mA。 DSP/CDPを検出した場合500mA |
USBポート検出と交渉 | ISET = マイコンのGPIO, D+ とD- はホストと接続 | SDPを検出しISET がLOWなら100mA。 SDPを検出しISET がHIGHなら500mA。 DSP/CDPを検出した場合500mA |
マイクロコントローラがUSBポート交渉のためにGPIOでISET
を制御している場合、ISET
はリセット時およびUSBが切断されたときに必ずLOWに設定する必要があります。
ISET
は、USBポートがSDPで、より高い電流制限の交渉が完了した場合にのみHIGHに設定されます。
これらの設定を示す設計図は、リファレンス回路にある回路図をご覧ください。
SYSREG抵抗と出力電圧
SYSREGは、VINT
電圧をVSYSに調整します。
VBUS
ピンの電圧がVSYS以下の場合、通常はVBUS
とVINT
間の間にRONの抵抗が存在します。
VBUS過電圧および低電圧保護
VBUS
の過電圧しきい値はVBUSです。VBUSの定電圧しきい値はVBUSです。
SYSREGは、VBUS
電圧が過電圧しきい値VBUSを超えた場合、または定電圧しきい値VBUS以下の場合に無効になります。
これによりVBUS
が隔離され、VINT
からVBUS
への電流の流れを防ぎます。
VBUS切断
VBUS
が切断され、電圧がVBUS以下に下がった場合、SYSREGはVINT
からVBUS
を隔離します。
VBUS
がVBUSに達すると、デバイスは超低消費電力(ULP)運用モードに入ります。
これはVBUS
上の静電容量負荷に依存したTを要します。
デバイスはVBUS
がVBUS以下である間、ULPモードにとどまります。
レギュレータ電気特性
記号 | 説明 | 最小値 | 典型値 | 最大値 | 単位 |
---|---|---|---|---|---|
IBUS | VBUS の最大入力電流、CDP/DCP USBまたはISET = HIGH | 450 | - | 500 | mA |
IBUS | VBUS の最大入力電流、SDP USBまたはISET = LOW、25℃ | 90 | - | 100 | mA |
VINT | SYSREGからの調整されたVINT 電圧、VBUS = 6V | 5.2 | V | ||
RON | SYSREGオン抵抗、ISET = HIGH | - | 440 | 720 | mΩ |
VBUS | 過電圧保護しきい値 | 6.9 | V | ||
VBUS | 定電圧保護しきい値 | 3.9 | V | ||
VBUS | ULPモードに入るしきい値 | 1.8 | V | ||
VBUS | VBUS のパワーONリセット解除電圧 | 3.9 | V | ||
VBUS | VBUS のブラウンアウトリセットトリガー電圧 | 3.8 | V | ||
T | USB検出時間、ISET = LOW | - | 700 | ms | |
T | VBUS 接続後、VINT が落ち着くまでの時間、ISET = HIGH、負荷なし | 1.2 | ms | ||
T | VBUS 切断後、システムがULPモードに到達するまでの時間、CVBUS = 10 µF | 110 | ms |
CHARGER - バッテリーチャージャー
このバッテリーチャージャーは、リチウムイオン/リチウムポリマー電池タイプの一般的な用途に適しています。
バッテリーチャージャーの主な特徴は以下のとおりです:
- リチウムイオン/リチウムポリマー電池化学種向けのリニアチャージャー
ICHG
ピンに接続された抵抗器で設定可能な充電電流(20mA から 400mA まで)- 動的なパワーポス管理のための双方向パワーFET
VBAT
がVINT
を供給する際のアクティブ電流制限VTERMSET
ピンを通じて選択可能な終了電圧 4.1V または 4.2V- 自動トリクル、定電流、定電圧、充電終了/再充電サイクル
- 標準および拡張温度範囲を持つJEITA規格に準拠したバッテリー熱保護(NTC)
充電サイクル
VBUS
接続およびバッテリー検出後にバッテリー充電が開始されます。
バッテリー検出とUVLOを参照してください。
バッテリーが検出された場合、トリクル充電が開始されます。 バッテリー電圧がV以上のときに高速充電が開始されます。 バッテリー電圧がVに達すると、チャージャーは定電圧充電に移行します。
バッテリー電圧は、バッテリーへの電流の流れを監視しながら維持されます。 バッテリーへの電流がI以下になると、充電は完了です。 チャージャーは、バッテリー電圧がV以下になるまで待ってから、新しい充電サイクルを開始します。
バッテリー検出とUVLO
充電が開始される前に、バッテリー検出とアンダーボルテージロックアウト(UVLO)の解除が実行されます。
チャージャーは、バッテリーが検出されるまで充電を待ちます。UVLOの解除に失敗した場合、チャージャーは 500ms ごとに再試行します。
UVLOの解除は、バッテリーパックに実装されたUVLO回路を指します。 デバイスにはアンダーボルテージロックアウト回路がなく、長期間の放電によるバッテリー故障から保護するために、バッテリーパックに実装する必要があります。
終了電圧(VERTMSET)
終了電圧(V)は、VTERNSET
を使用して設定され、バッテリー充電終了電圧の2つの値をサポートします。
VTERMSET | Vしきい値 |
---|---|
LOW | 4.1V |
HIGH | 4.2V |
終了電流とトリクル充電電流
終了電流とトリクル充電電流は、充電電流制限(I)のパーセンテージに設定されます。 限界値については、電気仕様を参照してください。
充電電流制限(ICHG)
充電電流制限は、R抵抗をICHG
ピンとAVSS
ピンに接続することで、20mA から 400mA の間に設定されます。
次の方程式は、Iに基づいて接続される抵抗値を示しています。
以下は、R抵抗が 0Ω から 30kΩ の間に場合に適用されます。
- Iはアンペア単位の急速充電電流制限です
- Rは、
ICHG
ピントAVSS
ピンの間に接続される抵抗値で、オーム単位です
一般的な値は、次の表に示されています。
R抵抗値 | 通常充電電流制限(I) | 誤差 |
---|---|---|
0 (AVSSと短絡) | 400 mA | % |
1.5kΩ | 200 mA | % |
4.7kΩ | 100 mA | % |
11kΩ | 50 mA | % |
30kΩ | 20 mA | % |
Iは、バッテリーの仕様に従って、バッテリーの安全充電電流制限値以下に設定しなければなりません。
NTCサーミスタによるバッテリー熱保護(NTC)
バッテリーの熱保護は、次の2つの方法で実装されています。
- 統合されたNTCサームスタを持つバッテリーパックを使用する
NTC
ピンとAVSS
ピンの間にサーミスタを接続する
サーミスタはバッテリーと熱的に接触している必要があり、できればバッテリーパック内にあることが望ましいです。 NTCサーミスタの推奨値は次の表に記載されています。
パラメータ | 値 | 単位 |
---|---|---|
25℃での抵抗値 | 10 | kΩ |
抵抗値の精度 | 1 | % |
B25/50定数 | 3380 | K |
B25/85定数 | 3434 から 3435 | K |
B定数精度 | 1 | % |
熱保護機能が仕様されない場合は、10kΩ の精度 ±20% 以下に抵抗器をNTC
ピンとAVSS
ピンの間に接続する必要があります。
JEITA準拠の熱保護を提供するために、充電電流制限および終了電圧はNTCサーミスタの測定値に応じて調整されます。
温度状態 | バッテリー温度 | 充電電流 | 終了電圧 |
---|---|---|---|
冷たい | T < 0℃ | 0(OFF) | なし |
冷たい | 0℃ < T < 10℃ | I | V |
通常 | 10℃ < T < 45℃ | I | V |
温かい | 45℃ < T < 60℃ | I | V - V |
熱い | T > 60℃ | 0(OFF) |
充電器の温度調整
デバイスのジャンクション温度がTを超え、チャージャーが急速充電モードにある場合、充電電流はIに減少します。
充電器のエラー状態
以下のいずれかが存在する場合、CHARGERエラー状態が発生します。
- バッテリーのショート(
VBAT
とAVSS
間) - バッテリーに問題があるため、バッテリー検出後のバッテリー電圧がVBATより低い
- トリクル充電タイムアウト: TOUTを参照してください
- 定電圧充電/急速充電タイムアウト: TOUTを参照してください
- CHARGERが自己チェック中にデバイス内部エラーが発生する
エラーが検出された後、CHARGERは無効になり、充電エラー表示がONになり、充電表示がOFFになります。
エラー状態はVBUS
が切断されて再接続されるとクリアされます。
定電圧/急速充電タイムアウトは、定電圧充電および急速充電の両方で過ごした合計時間、TOUTです。
充電状態表示(CHG)および充電エラー状態表示(ERR)
充電表示ピンCHG
と充電エラー表示ピンERR
は、アクティブ時に 5mA の電流を流します。
無効の場合は高インピーダンスです。
これは、LEDを駆動したり、ホストGPIOに弱いプルアップ構成で接続するのに適しています。
LED表示とホストへの接続の両方を構成するためには、GPIO入力電圧範囲の許容値を満たす必要があるか、または外部回路が必要になる場合があります。 外部回路はリファレンス回路を参照してください。
状態表示ピンCHG
は、バッテリーが充電中の間アクティブです。
充電エラー表示ピンERR
は、エラーが発生した時にアクティブです。充電器のエラー状況については充電器のエラー状態を参照してください。
DPPM - ダイナミック電力経路管理
CHARGERは、VINT
電圧を維持するためにバッテリーの電流の流れを管理します。
システムの負荷要件は、VBUS
が接続されておりバッテリーが充電中の場合には、バッテリー充電電流よりも優先されます。
バッテリーは、VBUS
が接続されていてバッテリーが完全に充電された場合には隔離されます。
SYSREGは、負荷がSYSREGの限界を超えない限り、負荷を供給します。
VBUS
が切断された時に、CHARGERはバッテリー供給に切り替わります。
充電中に、VINT
(BUCK入力電流を含む)とVBAT
(I)にかかる合計電流負荷(I)がSYSREG(I)によって提供される電流を超える場合、バッテリー充電電流はVINT
電圧を維持するために減少します。
バッテリー充電器は内部電圧を維持するために電流を減らします:。
さらに電流が必要な場合、CHARGERは補助モードに入り、IBATまでの電流をバッテリーから供給するために切り替わります。
充電サイクルが終了し、IがIを超える場合、CHARGERはバッテリーを接続し補助モードに入ってVINT
を維持します。
VBUS
とバッテリーが接続されている場合、最大でサポートされる負荷はI + IBATです。
VBUS
から切断された場合、CHARGERはバッテリーからVINT
に電流を供給します。
補助モード時、またはVBUS
が切断されている場合、VINT
電圧はバッテリー電圧と同じになります。
VBUS接続 | バッテリー接続 | 負荷 | 充電 | VINT供給 | VINT電圧 |
---|---|---|---|---|---|
Yes | Yes | (I + I < I) | 充電中 | VBUS | V(VBUS) |
Yes | Yes | (I + I < I), I < I | 充電中(I減少) | VBUS | V(VBUS) + VDROPOUT |
Yes | Yes | I > I | 補助モード | VBUS とVBAT | V(VBAT) |
Yes | No | I < I | なし | VBUS | V(VBUS) |
No | Yse | I IBAT | なし | VBAT | V(VBAT) |
電気仕様
記号 | 説明 | 最小値 | 典型値 | 最大値 | 単位 |
---|---|---|---|---|---|
THIGH | 高温しきい値 | - | 100 | - | ℃ |
THIGH | 高温ヒステリシス | - | 10 | - | ℃ |
V | トリクルから高速充電しきい値 | - | 2.9 | - | V |
V | 再充電しきい値 | - | 97 | - | % of VTERM |
VBAT | 充電中の最小電圧 | - | 2.1 | - | V |
TOUT | トリクル充電タイムアウト | - | 10 | - | min |
TOUT | 高速充電と定電流充電タイムアウト | - | 7 | - | hour |
V | 充電中のVINT - VOUT 電圧 | - | 50 | - | mV |
T | 検知イベント周期 | - | 500 | - | ms |
IBAT | バッテリー放電の出力電流制限 | - | 660 | - | mA |
RON | VBAT とVINI の放電抵抗、VBAT = 3.7V | - | 130 | 230 | mΩ |
VBAT | VBATの パワーオンリセット開放電圧 | - | 2.7 | - | V |
VBAT | VBATの ブラウンアウトリセットトリガー電圧 | - | 2.5 | - | V |
I | 直流電流(CHG とERR ピン) | - | 5 | - | mA |
BUCK - バックレギュレータ
BUCKは、以下の特徴を持つステップダウンDC/DC電圧レギュレータです:
- 高効率(低IQ)および低ノイズ動作
- 負荷に基づいた自動切り替え機能を持つPWMモードとヒステリシスモード
- 出力電圧リップルを最小限に抑えるためのPWMモードを強制する
MODE
制御ピン - 1.8Vから3Vの間で設定可能な出力電圧
VINT
がVSYSよりも高い場合、バックレギュレータは有効になり、その出力電圧はVOUTBで利用可能です。
BUCKはヒステシスモードとPWMモードの2つの運用モードを持っています。
ヒステリシスモードは、サポートされるすべての負荷電流範囲にわたって効率を提供します。
PWMモードは一定の切り替え周波数Fによりクリーンな供給動作を提供し、RF回路との最適な共存を実現します。
BUCKはヒステリシスとPWMモードの間で自動的に切り替えることができます。モードはMODE
ピンによって制御されます。
MODE
ピンの状態はいつでも変更可能です。
出力電圧選択(VOUTBEST0、VOUTBEST1)
BUCK出力電圧選択ピンVOUTBSET0
およびVOUTBSET1
は、DEC
、VSYS
、またはAVSS
に配線する必要があります。
動作中にこれらのピンをトグルしないでください。
VOUTBSET1 | VOUTBSET0 | VOUTB電圧 |
---|---|---|
LOW | LOW | 1.8V |
LOW | HIGH | 2.1V |
HIGH | LOW | 2.7V |
HIGH | HIGH | 3.0V |
BUCKが所望の出力電圧を供給するためには、VINT
はVOUTB
上の電圧よりもV分だけ高くなければなりません。
バッテリーから供給される場合、以下の方程式でVINTが与えられます:
ここで、Iはバッテリーから引き出される電流です。
BUCKモード選択(MODE)
オートマチックモードでは、BUCKは低負荷電流に対してヒステリシスモードを選択し、高負荷電流に対してはPWMモードを選択します。
これにより、サポートされる全負荷電流範囲にわたって効率が最大化されます。
PWMモードでは、BUCKは一定のスイッチング周波数と低い電圧リップルにより、クリーンな供給動作を提供します。
これにより、RF回路との最適な共存が可能になります。
MODE
ピンはいつでも変更できます。
MODE | BUCK動作モード |
---|---|
LOW | ヒステリシスとPWMモードの自動選択 |
HIGH | PWMモード |
部品選択
インダクタの推奨値を以下の表に示します。
パラメータ | 値 | 単位 |
---|---|---|
通常インダクタンス | 2.2 | μH |
インダクタ精度 | 20 | % |
直流抵抗(DCR) | 400 | mΩ |
飽和電流(I) | 350 | mA |
最大電流(I) | 350 | mA |
レギュレータ電気仕様
記号 | 説明 | 最小値 | 典型値 | 最大値 | 単位 |
---|---|---|---|---|---|
VOUTB | VOUTB 精度 | -2 | - | 8 | % |
IOUTB | 短絡電流制限 | - | - | 400 | mA |
I | ヒステリシスからPWMモードに変わる電流負荷 | - | 90 | - | mA |
I | PWMからヒステリシスモードに変わる電流負荷 | - | 40 | - | mA |
V | V(VOUTB) - VINTのドロップアウト電圧 | - | 0.41 | - | V |
F | PWMモードのスイッチング周波数 | - | 3.6 | - | MHz |
VINT | BUCK有効時のVINT電圧最小値 | - | 2.8 | - | V |