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製品概要

この章では、nPM1100の主な機能の概要を説明します。

ブロックダイアグラム

以下のブロック図はシステム全体を示します。

ブロックダイアグラム

回路構成

このデバイスは、入力ピンを通じて異なるアプリケーションやバッテリー特性に合わせて設定可能です。

スタティック入力ピンは、電源オンリセット前に設定する必要があります。 ダイナミック入力ピンは、リファレンスに記載されている条件下で運用中に変更可能です。 ピンの完全なリストについては、ピン割当を参照してください。

ピン機能入力タイプ使用参照
VTERMSET終了電圧の設定スタティック(H/L)終了電圧(VTERMSET)
ICHG充電電流制限スタティック(抵抗値)充電電流制限(ICHG)
ISETVBUS電流制限ダイナミック(H/L)VBUS電流制限ISET
MODEBUCK PWMモードオーバーライドダイナミック(H/L)BUCKモード選択(MODE)
VOUTBSET[n]2ピンVOUTB電圧設定スタティック(H/L)出力電圧選択(VOUTBSET0、VOUTBSET1)
SHPACTシップモードを有効にするダイナミック(H/L)¹シップモードの使用
SHPHLDシップモードを無効にするダイナミック(H/L)¹シップモードの使用

¹これらのピンはレベルおよびホールド時間制御されます

システム説明

このデバイスには、以下のコアコンポーネントがあり、それぞれの章で詳しく説明されています。

システムレギュレータ(SYSREG)はVBUSによって供給される5V LDOです。 有効になるとVINTを生成します。 VINTはデバイスの内部電源であり、VSYSという外部ピンでも利用可能です。 SYSREGはVBUS上で広い動作電圧範囲をサポートし、最大 20V までの過渡電圧に耐え、過電圧保護を実装しています。 SYSREGはVBUSからの構成可能な電流制限とUSBポート検出も実装しています。 VBUSが切断されるとSYSREGはデバイスが調停消費電力モードに入り、待機電流を最小限に抑えることを保証します。 VBUS < VBATの時に逆電流保護が有効になります。 詳細および電気的パラメータについては、SYSREG - システムレギュレータを参照してください。

バッテリーチャージャー(CHARGER)はJEITA互換のリチウムイオン/リチウムポリマーバッテリー用のリニアバッテリーチャージャーです。 CHARGERは標準的なリチウムイオン準電プロファイルを使用して充電サイクルを制御します。 CHARGERはシステム要件に応じてバッテリーへの出入りを調整する動的電源経路管理を実装しています。 充電電流と充電終了電圧はそれぞれICHGピンとVTERMSETピンで設定できます。 充電状態と充電エラー状態表示のためのLEDドライバーがCHARGERに実装されています。 詳細および電気的パラメータについては、CHARGER - バッテリーチャージャーを参照してください。

バックレギュレータ(BUCK)はPWMモードとヒステリシスモードを持つ降圧DC/DCレギュレータで、最適な効率のための自動制御と必要に応じて電圧リップルと誘導干渉を減らすためのPWMモードの手動有効化が可能です。 出力電圧は異なるアプリケーション回路要件に対応するためにピン設定(VOUTSET0およびVOUTSET1を通じて)が可能です。 BUCKはVINT(SYSREGまたはバッテリーから)によって供給されます。 詳細および電気的パラメータについては、BUCK - バックレギュレータを参照してください。

デバイスには、最も低い待機電流状態であるシップモードも搭載されています。 これはバッテリーをシステムから切断し、製品が保管中のバッテリー寿命を延ばすためにデバイスの待機電流を削減します。 詳細についてはシップモードの使用および充電とエラーLEDドライバーを参照してください。

パワーオンリセット(POR)およびブラウンアウトリセット(BOR)

以下のいずれかの条件が満たされた場合、電源オンリセット(POR)が発生します。

  • VBUS電圧がVBUSPORVBUS_{POR}を超える
  • VBAT電圧がVBUSPORVBUS_{POR}を超える

以下の両方の条件が満たされた場合、ブラウンアウトリセットリセット(BOR)が発生します。

  • VBUS電圧がVBUSBORVBUS_{BOR}を下回る
  • VBAT電圧がVBUSBORVBUS_{BOR}を下回る

もし両方の電源減圧がパラメータ範囲の最大値を下回っている場合、BORが発生することがあります。 両方の電源電圧がパラメータ範囲の最小値を下回っている場合、BORが発生します。

デバイスは、両方の電源電圧VBATおよびVBUSが最小しきい値を下回っている時にリセット状態、またはシステムオフ状態に保持されます。

DPPM - ダイナミック電力経路管理

ダイナミックパスパワー・マネージメント(DPPM)は、システム負荷(ISYS)の変化に応じて内部電圧(VINT)を調節し、アプリケーション回路への供給(VSYSおよびVOUTBピンによって供給される)を維持する機能です。 CHARGERは充電中、充電完了後、またはVBUSピンが切断されたときにDPPMを適用し、バッテリーへの電流の流入と流出を動的に制御します。 DPPM - ダイナミック電力経路管理を参照してください。

シップモードの使用

シップモードはバッテリーを隔離し、待機電流を減少させます。

シップモードに入るためには、VBUSが切断された状態でSHIPACTをHigh状態(VIH)に設定し、最小期間(tactiveToShipt_{activeToShip})の間保持する必要があります。 SHIPACTには内部プルダウン抵抗があります。 SHIPACTはマイクロコントローラのGPIO(VILとVIHの範囲内の論理レベルを使用して)接続したり、製造終了時のアクティベーションのためにPCBテストピンに接続することができます。

note

VBUSは最小レベル(VBUSMINVBUS_{MIN})以下に放電されている必要があり、これにはSHIPACTをアクティベートする前に任意のキャパシタ放電を待つことが必要になる場合があります。

シップモードを解除するには2つの方法があります。 USB(VBUS)を接続するか、またはSHIPHLDを最小期間(tshipToActivet{shipToActive})低く設定します。 バッテリー供給(VBAT)は、シップモードが有効なときに弱いプルアップ抵抗を通じてSHIPHLDを高く保持します。 SHIPHLDを引き下げる回路はオプションです。 プルダウン回路が存在しない場合、VBUSが接続されたときにシップモードは解除されます。 シップモードが不要な場合、SHIPACTおよびSHIPHLDピンはAVSSに接続されている必要があります。

シップモード

温度保護

デバイスはバッテリーの温度に基づいて熱調整を実装しており、NTCサーミスタによるバッテリー熱保護(NTC)充電器の温度調整 を参照してください。

バッテリー熱保護と充電器の熱調整に加えて、ダイ温度が動作温度範囲を超えた場合には、ダイ温度に基づくグローバルな熱シャットダウンが実装されています。 詳細はTSDを参照してください。 すべてのデバイス機能は熱シャットダウン中に無効化されます。 デバイス機能は、ヒステリシスTSDHYSTTSD_{HYST}に従って温度が充分に低下した時に再度有効化されます。

バッテリーに関する考慮事項

充電器はリチウムイオン/ポリマー充電式バッテリー専用です。

VBATピンに接続されたバッテリーパックには、以下の保護回路が含まれていなければなりません。

  • 過充電保護
  • アンダーボルテージ保護
  • 過電流放電ヒューズ
  • 過温度から保護するサーマルヒューズ(NTCサーミスタが存在しない場合)

充電とエラーLEDドライバー

CHARGERは、LEDを駆動したり外部回路にステータスを信号するために使用されるCHGピントERRピンを制御します。 招待については、充電状態表示(CHG)および充電エラー状態表示(ERR)を参照してください。

システム電気パラメータ

記号説明最小値標準値最大値単位
IQSHIPIQ_{SHIP}シップモード休止電流-460-nA
IQBATIQ_{BAT}休止電流、バッテリー動作、無負荷、MODE = LOW、VBUS切断-800-nA
TSD熱遮断閾値-120-°C
TSDHYSTTSD_{HYST}熱遮断ヒステリシス-10-°C
VIHV_{IH}入力HIGH1.1-VINTV
VILV_{IL}入力LOW0-0.4V
RSHPACTR_{SHPACT}SHPACTAVSS間の内部抵抗500kΩ
tactiveToShipt_{activeToShip}シップモードを有効にするためにSHPACTを高く保持する時間200ms
tshipToActivet_{shipToActive}シップモードを無効にするためにSHPHLDを低く保持する時間200ms